テニススクールに来る面白い人、Kさんからの挑戦状

ジュリイがまだ学生のころの話です。

その人は少し前から、テニスクラブに1人でレンタルコートに来るようになりました。

レンタルコートは、最低2人で来るものですが、その人は平日の昼間に1人で来るのです。

なんでも「〇〇交通」という、バス会社かタクシー会社の運転手だそうです。

男性で、名前はKさん。

年齢は30歳~35歳くらいで、人相はあまり良くありませんが、悪い人ではないようです。

フロントではあまりしゃべりません。

Kさんの練習風景

Kさんは、以前の記事にも出てきました、「テニサー」という自動送球マシンを持っていました。

きっと平日昼間になかなか練習相手が見つからないため購入したのでしょう。

テニサーは上下に表面がゴムの2つの車輪が回っていて、その間にボールを送り込んでボールを飛ばします。バッティングマシンのテニス版と思って差し支えありません。

スピードの調節、角度の調節も、トップスピン、バックスピンの回転量も調節できる優れものです。

Kさんは1人でコートに行くと、さっそくテニサーの電源を入れて、ボールをセットしました。

その日のKさんの練習のテーマはスマッシュのようで、Kさんはテニサーの調整をしてネットに立ち、ロブを待つ構えをしていました。

テニサーは車輪の回転でボールを飛ばすのですが、電源を入れても、すぐにはスピードが上りません。

Kさんはやる気まんまんで構えていたのですが、テニサーから出るボールは力なく2球3球とネットに掛かります。

これではイカンと、Kさんはテニサーに駆け寄り角度の再調整を行いました。

そして再びネット前で構えるKさん。

その時です!

なんと、テニサーから出たボールは見事にKさんの頭の上を越えてベースラインぎりぎりに落ちました。( ゚Д゚)

何球ボールが出ても、Kさんはその度に空振りや見送りをするしかありません。

それほどの絶妙な高さと深さなのです。

テニサーは電源が入ってから少し経つまでは回転が上がらないために調整が難しいかったのです。

時間が経ち、十分な速度でローラーが回転すると、希望の調整通りボールが飛び始めたために、超ナイスロブの連発となったのです。

ジュリイはそれを見て笑いをこらえるのに必死でしたが、Kさんは大まじめ(^^;)

結局Kさんは10球ほどテニサーにノータッチエースを取られて、やっと再々調整をテニサーに施してました。(;´∀`)

トップスピンが大好きなKさん

Kさんは、トップスピンをこよなく愛していました。

ストロークはフォア、バックともトップスピン一色で、スライスは使いません。

もちろんサーブもスピンサーブ。

ヘッドのラジカルというラケットを使っていました。

ある日、Kさんがシングルスのトーナメントにエントリーをしたのでした。

トーナメントに出る際には所属するスクールやサークルを聞くことになっているのですが、普通はサークル名だったり、何もない場合は「フリー」とするのが当たり前でした。

Kさんの所属は 「〇〇交通」

なるほど、自分の会社名にしています。

そのトーナメントでKさんは躍進し、ベスト4まで勝ち残りました。

勢いに乗ったKさんは、次のシングルスにも申し込みました。

すると、確かにKさんの名前で申し込みをしているのですが、所属名が変わっています。

所属 「トップスピン」

そんなサークルあったのか?と一瞬思ったのですが、すぐに気づきました。

Kさんはトップスピン大好きなので、自分の所属を「トップスピン」にしたのだと。

もうこの時点で、Kさんてかなり面白い人ではないか?と思っていましたが、次にKさんがエントリーした時に、スタッフのコーチ陣に衝撃が走りました。

なんとKさんの所属がまた変わっていて、その所属名は

「順回転製造所」

そのまんまやん!

まるでどこかの工場を思わせるようで、それでいて自分のポリシーの入ったようなネーミングに皆で爆笑しました。

Kさんからの挑戦状

その数年後のことです。

Kさんが突然プライベートレッスンをジュリイに名指しで申し込んできたのです。

その内容は、レッスンとか指導ではなく、シングルスの勝負をして欲しい、というものでした。

きちんと時間分のレッスン料は払うので、試合をして欲しいということのようです。

そんなプライベートレッスンは初めてで戸惑いましたがOKを出し、当日を迎えました。

そこでKさんは次のような交換条件を出してきました。

もし自分(Kさん)が勝ったら、次のプライベートレッスン料金を無料にして欲しい、そのかわり、自分(Kさん)が1ゲームも取れなかったら、要するに0-6で負けたら、スイミングキャップとゴーグルをつけたまま帰る、とのこと。

なんじゃそら?

と思いましたが、負ける訳はないし、まあいいか、と思って試合を始めました。

Kさんのプレイスタイルは分かっているし、体力的、技術的にもジュリイの方が上であり、余裕で勝利したのでした。

スコアは6-0でジュリイの勝ちです。

少し会話しながらフロント前まで一緒に歩きます。

と、そういえば最初の条件はKさんから言い出したことですが、さて、どうするのか・・・?

Kさんはおもむろにカバンからスイミングキャップとゴーグルを取り出し、

「では約束通り・・・」と言って、キャップとゴーグルを装着して、

「ありがとうございました」といって、さっそうと車に乗って去っていきました。

フロントの女の子は目が点になっていました。( ゚Д゚)

それ以降は、プライベートレッスンの申し込みはありませんでした。

いまごろKさんはどうしているのか?

回転のかかりすぎたトップスピンを見るたびに、Kさんのキャップとゴーグル姿を思い出します。

また更新しますので見て下さい。

ありがとうございました。

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コメント

  1. ジュリイ ジュリイ より:

    べじたぶるさん、はじめまして!
    ありがとうございます。
    ゆっくりご覧になって下さい(^-^)

  2. べじたぶる より:

    こんにちは。
    検索していて記事をみました。
    38歳からテニスを始めた会社員&主婦です。

    とても面白い方ですね(笑)。
    その後、Kさんはどうなったのでしょうか。
    気になりますね(^-^)。

    とても参考になることが多いのでまた見させて頂きたいと
    思います!