「テニスを徹底的に科学する」本を読んだのでレビューします

どうも!現役コーチのジュリイです!

「テニスを徹底的に科学する」という本があります。

リチャード・ショーンボーン博士が月刊誌テニスマガジンに「テニスゼミナール」というコーナーを連載されています。

その中の選りすぐりの総集編を本にしたものです。

ショーンボーン博士はバイオメカニクス、スポーツ生理学の研究者で知られた方で、ベッカーやグラフを育成した実績があり、僕はテニスマガジンでショーンは博士のことを知りました。

「テニスを徹底的に科学する」は、毎月の連載を本にしただけのものなので、読んだことのある内容もあったのですが、読んでみると忘れていることも多くありました。

やっぱり記憶は薄れていくものですね。

あらためて読み返してみると、新鮮に思うことが多く、良い刺激になりました。

テニス科学本の中画像1

「テニスを徹底的に科学する」の内容をネタばらしすると・・・

「テニスを徹底的に科学する」とタイトルにある通り、選手やコーチ、この本では読者に向けてテニスを科学的に捉えることの大事さと、科学に裏づけされた解説をしてくれます。

本の中の「ボールのコントロールを上げる方法」では、現在の世界No 1であるジョコビッチ選手がいかに優れているかをボールを着地点のデータを元に解説しています。

データは2012年のナダル対ジョコビッチの5時間を越える決勝戦のものですが、データを見るとジョコビッチの打球の方がラインに近い相手コート内に多くのボールが落ちています。

データから言えることとして、勝利するためには対戦相手よりボールをコントロールすることが大事だと言います。

そしてコントロール性を向上させるための考え方を提唱し、本の中ではトレーニング方法やドリルまで紹介されています。

データを元にしてテニスを科学的に分析することによって色々なことが見えてくる良い例だと思います。

思いますが、実は僕が「おい、ちょっと待ってよ」と思ったこともあります。

それは、ショーンボーン博士のデータ分析にかかればナダルやジョコビッチさえもボールのコントロールにはかなりのバラつきがあり、プロ選手は今よりさらにコントロールの精度を上げるべきで、それが勝利のカギを握ると言うのです。

テニスはもっとボールをコントロールするべきであり、トッププロの選手でも精度に問題があるとショーン博士は言います。

しかし現代テニスはラケット性能とプレイヤーのフィジカル能力の向上によって高速化が進んでいます。

サーブに関しては人間の反応の限界を越えるほどです。

ストロークにしても、プロ選手の打つボールはもの凄いスピードと強烈なトップスピンがかかっています。

普通の人間なら握ったラケットもはじき飛ばされるでしょう。

相手コートに打ち返すだけでもやっとの思いです。

プロ選手はたやすく打っているように見えますが、打ち返すには高度な技術が必要です。

そんな高速で飛んでくるボールを、強烈なスピンで高く弾むボールを、地面を這うようなバックハンドスライスをショーンボーン博士は、

「バラつきが大きすぎる!テニス選手はもっとボールをコントロールするべきだ!」

と言います。

僕は、「ええ・・?これ以上ムリじゃね?」

と思うのですが、科学的視点に立った結論というのはなかなか厳しいものだなと思います。

テニス科学本の中画像2

この本を読んでためになる人は?

ショーン博士のコントロールに対する考え方は、むしろ一般プレイヤーにこそ参考にするべきだと僕は思います。

よくボールをひっ叩くことに命をかけている人がいます。

テニスの楽しみ方は人それぞれなので、それが悪いことだとは言いません。

しかし、「絶対に試合に勝ちたいんです!」と言っているのに、コートの上ではコントロールすることより、全力でボールを叩いている人がとても多いのです。

上達=試合に勝つ

と本気で思っているなら、この本で述べられているショーンボーン博士の考え方を取り入れることをお勧めします。

本の中ではデータ分析の重要さだけでなく、ちゃんとコントロール性を上げるためのドリルも書かれていますので、本を片手に実践するのも良いですね。

本の後半では人間に備わっている基本的な動作をテニスに生かすための方法も書かれています。

これはショーンボーン博士の研究分野であるバイオメカニクスの理論に基づいたものです。

テニスのスウィング(サーブもストロークも)は、物を投げる動きです。

人が狩猟生活を営んでいた時代から遺伝子に刷り込まれている自然な人間の動きをテニスに取り入れることが上達のコツだと言います。

この考えは僕にもよく理解できる考えで、実際にそうだと思います。

テニスのスウィングを特別なものと思わずに、投てき動作を基本に考えることが理想的なスウィングのカギになります。

本の中でバイオメカニクスについて詳しく語られてはいませんが、ヒントとなることは分かりやすく書かれているので、初めてバイオメカニクスという言葉を聞いた方にも理解できるようになっています。

ジュリイが語る人間の可能性

さらに最終章ではスウィングにおける打点の大事さが取り上げられています。

正確な打点を作るためにはテイクバック、フォワードスウィングが大事であって、4/1000秒という一瞬をコントロールすることは不可能でナンセンスだと言います。

インパクトの瞬間はガットやラケットが変形すること、

ほんのわずかな角度の違いでボールは大きく逸れること、

インパクトはあまりに短く、人間ではコントロールできないこと、

その他、インパクトの真実について語っています。

ショーン博士の考えには納得できることが多いし勉強になります。

確かに勉強になりますが、少しだけ意見を言わせてもらうと、人間の感覚はショーン博士の想像の上を行くのではないか?というのが僕の意見です。

例えば、ショーン博士はインパクトはあまりにも一瞬で、人間にはどうすることもできず、微妙なコントロールも不可能と言います。

ですが、極限の状態の人間にはそれをコントロールすることができるのではないかと僕は思っています。

フェデラーやナダル、ジョコビッチが時に信じられないショットを繰り出すその瞬間は、人間の限界を越えていると思わせてくれます。

あなたもそう思ったことはありませんか?

ラケットの角度が10度変われば、ボールの着地点は6~7m変わるそうですが、研ぎ澄まされた人間の感覚はもっと微妙な調整(ラケット角度1度以下の調整)ができると僕は思うのですがどうでしょう?

テニス科学本の中画像3

この本を買うべき人

すべてのテニスファンにお勧めをすることはしませんが、以下のような方には読んでみる価値はあるかと思います。

  • 世界最先端テニスの考え方を知りたい
  • 試合のデータを生かす方法を知りたい
  • コントロール性を上げるための理論とその方法を知りたい
  • 試合の勝敗表を決定づける要因とは何かをデータを元にして知る方法を知りたい
  • ショーン博士の上達理論を知りたい
  • テニスを科学的に考えて上達したい
  • テニスのコーチである

この本を買って読もうとするくらいの人はよほどのテニスマニアか、上達への思いが強い人か、テニスコーチくらいだと思います。

あなたが上の項目にひとつでも当てはまるなら、一読の価値はあるでしょう。

Amazonには本の感想が書かれていますので、そちらも参考にして下さい。

また更新します。

ありがとうございました。

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